kildare1966の個人的な感想徒然

いろいろと自分が感じた感想についてアップしていきます。

境界戦機の失敗 シン・ウルトラマンの感想について

境界戦機、面白くないですよね。結局、SUNRISE BEYONDは自分で会社説明で言っているようにバンダイナムコの言いなりです。

シン・ウルトラマンについて巷では「庵野が描くウルトラマンとしては及第点」とか「樋口監督だからダメ」とか色々と言われています。

新しいウルトラマンを見たいなら、テレビで新しいシリーズが放送されています。今の子供にとってはこれが自分のウルトラマンでしょうね。ただ、テレビでは子供に玩具を買ってもらうことが前提です。それが悪いとは言いません。そういう商法で、映像で回収出来なくても玩具の売上で回収する。そのうえで映像にお金がかけられる面もあります。

そう考えたうえでも、境界戦機、面白くないです。バンダイナムコがプラモデルを売るための映像作品。本当に主人公が何をしたいのか、分かりません。

シン・ウルトラマンでもフィギュアなどの商品もありますが、テレビシリーズのウルトラマンにおける玩具売上とは違うものです。まずはこの玩具売上ありきであるウルトラマンからやっと卒業出来た映画だと思います。仮面ライダーですら主人公が色変したりフォームが変化したり、かなり色んなライダーを買わせようという意図が見えてしまいますよね。

ですから映画館に来てもらって、チケットを買ってもらってその評価がされる。DVD販売での回収までを目的とした日本映画の悪習である製作委員会。確かに「シン・ウルトラマン制作委員会」はあります。ですが、円谷プロ東宝、カラーが共同で制作した作品で、制作委員会は円盤での回収システムのみと言えるでしょう。

その上で言えば、庵野秀明という人が子供の頃からの夢を円谷プロ東宝も巻き込んで実現している。このこと自体が奇跡です。当然、円谷プロも自社のラインナップに残ることを承知したうえで庵野さんが脚本を書くことを認めているわけです。

だから、このシン・ウルトラマン庵野さんが人生をかけて制作した同人誌です。コミケで販売しているものとはレベルが違うと思いますが、同人誌を作成している人との思い入れに近い。本当に自分が撮りたいウルトラマンを映画にしたのだと思います。樋口真嗣の映像には期待出来ない。そんな偉そうなことを言う人がいますが、人生をかけた同人誌を描く画家に庵野さんが樋口さんを選んだわけです。昔からの付き合いだからなど言うことで夢の実現の一翼を託すことはないと思います。

しかも総監修は庵野さんですから、樋口さんが上げてきた映像を切り貼りしたわけです。納得がいかない映像は使わない。面白くない映像は使わない。それはエヴァンゲリオンの制作のなかで何度も見た庵野さんの姿です。

あそこがつまらない。セクハラ臭がする。いろんな意見が上がっていますが、これが庵野さんが見せたかったウルトラマンということです。

矢口蘭堂二世議員ですが映画では詳しくは描かれません。そしてカヨコ・アン・パターソンも二世議員。これを知ると二人の会話がまた違って見えてくるでしょう? カヨコがイケイケなのも親のコネを十分に使う、矢口と同じ政治家タイプだから。だからこそどちらかが優勢ということもなく互いと意見をぶつけ合うわけです。寄せ集めだった巨災対。最初は少し会話もチグハグですが、どんどん仲間を認めていってゴジラ凍結に向けて一緒になって考えていく。竹野内豊さんが演じた赤坂への内通のためにメンバーに入ったと思われる人物も終盤に向けて巨災対の一員として頑張っている。それぞれの省庁の制服は脱がなくても心は一緒です。バラバラの制服・衣装にすら意味を持たせている。

シン・ゴジラは何度も見ることでどんどん面白くなる作品です。泉ちゃんが「金帰火来で助かったよ。」と言います。金曜日に地元に帰って火曜日に戻ってくる。元々は都会に出た者が地元に帰って稲作などの手伝いをしていた風習を意味するものですが、庵野さん、これをさらっと泉ちゃんに言わせて終わりでしょ。

悪いSF映画ではよくアイテムをわざわざ見せて「どう、近未来的でしょ。」というシーンを挟みますよね。見ていてゲンナリします。

それは庵野さんはしないですよね。それを凄いと評しても、財前統合幕僚長のように「礼は要りません。仕事ですから。」と言われそうです!